ABOUT
工法概要
近年、異常気象や地震等の自然災害において文化財や歴史的価値のある建造物の石積みをはじめ、擁壁が倒壊する被害が相次いでいます。また、このような被害は、多くの人命を奪う可能性もあります。
IBアンカー工法はこうした背景の中で、有事の発生時にも石積み擁壁の倒壊被害を最小限に食い止める、画期的な工法です。
IBアンカー工法とは
IBアンカー工法は、石積み擁壁やブロック積み擁壁の背面地山に鋼製ロッドを挿入して、高強度の発泡ウレタンを注入することで、擁壁と背面地山の一体化を図る工法です。
発泡して拡散したウレタンが背面地山の空隙部に緻密に発泡加圧充填されます。また、充填されたウレタンは部分的に固化するため、排水性を失いません。擁壁の規模を問わず施工できるため、個人宅から重要文化財まで幅広く対応します。
施工方法
IBアンカー工法は、以下のような流れで施工を行います。
削孔・注入用ロッドに削孔用ロストビットを取り付けて所定の深さまで削孔します。削孔・注入用ロッドは孔内に残置させ、補強芯材として利用します。
注入アダプターを削孔・注入用ロッドに取り付けてNTRフォームを充填します。削孔・注入用ロッドの中空孔を介して先端開口部より背面地山の空隙部に注入して、オーバーフローさせることで石積壁の裏グリ石層に太径の固化体を形成します。
美装で外観を復元し、石積み擁壁の景観性を棄損しません。
ただし、この表面処理には口元部の先行コアリング削孔が必要です。(他にも低頭アルミキャップ処理などの選択も可能です。)
IBアンカー工法では、施工範囲を最小限で抑えるができるため、
削孔した石積やブロックを再利用や施工場所の外観を変えることなく施工が可能です。
削孔、ロッド挿入、注入が一工程で完了できるので経済的です。また全ネジ鋼棒であり、カップラで接続すれば、最長3mまでは人力施工が可能です。
低発泡のウレタン系注入材のため、少量で空洞を充填でき非常に経済的です。また、硬化時間が非常に短いため、短時間での施工が可能です。発泡倍率は、5倍発泡と10倍発泡を用意しています。
圧力と流量を管理しながら、薬液を注入する装置です。軽量・小型で、狭小でも施工可能です。
石積み擁壁の崩壊メカニズム
度重なる雨水侵入や地震履歴による裏グリ石の沈降や背面地山の変状は、石積み壁面に『はらみ出し』を発生させて擁壁の面状を不安定化し、その後に発生する地震により倒壊に至ります。大規模地震では背面地山も同時に崩壊した多くの事例報告もあります。
IBアンカー工法では、石積み擁壁の面状にはらみ出しが生じないように所定間隔で中空ボルトを打設し、ボルト中央孔を介して先端部から短時間で自己硬化する低発泡高強度の硬質発泡ウレタンを注入し、口元でリターンが確認されるまで加圧充填することで、空隙率の大きな裏グリ石部に所定の太い固化体を自己形成します。この固化体により裏グリ石の沈降を抑止し、さらに背面地山とボルトの定着により石積み擁壁の倒壊を防ぐことが可能です。
スパイダーウェブ工法
スパイダーウェブ(メッシュなし)
スパイダーウェブ(メッシュあり)
透明特殊コーティング
メッシュシート
間知ブロック表面の目地部分に透明特殊コーティング材を塗布しました。
(押出し寸法:荷重6.7kN-10mm上昇)
中心部のブロックに対して下部方向より油圧ジャッキで押抜きました。その結果、各ブロックはせん断することなく6.7kNで一様に持ち上がりました。